熱の移動(重要度☆☆☆)
熱の移動には下記の3種類があります。
①伝導
太陽に長時間当てた金属を触ると熱くて触れないことがあります。
このように、物質を加熱すると、直接加熱していない部分にも熱が伝わっていきます。
これを伝導といいます。
物質には熱が伝わりやすいものもあれば、伝わりにくいものもあります。これを熱伝導率で表します。熱伝導率の数値が大きいと熱が伝わりやすく、
気体(小)→液体(中)→固体(大)
の順に熱伝導率が大きいです。
また、固体の中でも、金属の熱伝導率が大きく、
木材(小)→コンクリート(中)→金属(大)
の順に熱伝導率が変わります。
また、熱伝導率が大きい物質は、熱が蓄積しにくいので、可燃性でも燃焼しにくいです。
金属が熱くなりやすいのは「熱が伝わりやすい=熱伝導率が大きい」からなんですね!
熱伝導率が大きいということは、熱が素早く移動するということだね!
その分熱くなりやすいけど、熱の動きが速いから熱がたまりにくく、燃えにくいんだよ。
逆に、木は熱伝導率が小さいので、熱くて触れないことは少ないけど、そのかわり熱がたまりやすくて燃えやすいんだ。
②放射
こたつや焚火で体を温めるように、物体が熱を出して他の物体に熱を伝えることを放射といいます。熱を伝える物質がなくても伝わるため、真空の空間でも放射は起こります。
③対流
エアコンのように、液体や気体が移動することによって熱が伝わることを対流といいます。
液体や気体が加熱されると膨張し、密度が小さくなって上昇します。そこに冷たい部分が流れ、これがまた温められます。
熱膨張(重要度☆☆)
温度が高くなって物体の長さ(線膨張)や体積(体膨張)が増加することを熱膨張といいます。
1℃当たりの膨張する割合を熱膨張率といい、単位はK⁻¹で表します。
また、体積が膨張する割合を示す数値を体膨張率といいます。体膨張率は物質によって違い、
固体(小)→液体(中)→気体(大)
の順で大きくなります。
熱伝導率の順序とは逆なんですね!
熱膨張によって増加する体積は、下記の公式によって求められます。
増加体積=元の体積×体膨張率×温度差
物質の熱膨張にはそれぞれ特徴があります。
液体
液体は体膨張によって体積が変わります。
たとえば、500ℓのガソリンの温度が10℃から20℃に上がるとします。ガソリンの体膨張率は1.35×10⁻³K‐¹です。
10⁻³は「1/10×10×10=1/1000」または「0.001」です。K⁻¹は単位なのであまり気にしなくてもいいです。
熱膨張によって増加する体積の公式に当てはめると、
元の体積500ℓ×体膨張率0.00135×温度差10=6.75
つまり、ガソリン500ℓの温度が10℃上がると、6.75ℓの体積が増えるということです。
ガソリン等の液体の危険物をタンクに保管するとき、温度が上がって体積が増えるとあふれてしまう危険があるので、体膨張の計算は重要なポイントだよ!
固体
固体の場合、体膨張のほかに、ある2点間の距離の変化を考えます(線膨張)。一般に、固体の体膨張率は線膨張率の3倍です。
気体
気体の場合、液体と同じで体膨張を考えます。気体の体膨張率は液体や固体よりも大きく、どの気体でも、圧力が一定の場合、温度が1℃上昇する度に0℃のときの体積の1/273ずつ膨張します。
難しい言い方になってるけど、「気体は固体や液体より体膨張率が大きいこと」、「どの気体の体膨張率も同じであること」を覚えておけばいいよ!
本試験で狙われるポイント
熱の移動は伝導・放射(こたつ等)・対流(エアコン等)の3つ
熱伝導率が大きい方が熱が伝わりやすく、気体(小)→液体(中)→固体(大)の順で大きい。
固体の中でも、木材(小)→コンクリート(中)→金属(大)の順で熱伝導率が大きい。
体膨張率は固体(小)→液体(中)→気体(大)の順で大きい。
気体の体膨張率はどれも同じ。
熱膨張によって増えた体積は、増加体積=元の体積×体膨張率×温度差で求める。
練習問題
問題 熱伝導や熱膨張について、誤っているものはどれか。
(1)フライパンを火にかけるとフライパンが熱くなるのは、熱の伝導である。
(2)ガソリンは木の破片よりも熱伝導率が大きい。
(3)1000ℓのガソリンの温度が20℃から25℃になると、ガソリンの体積は1006.75ℓになる。ただし、ガソリンの体膨張率は 1.35×10⁻³K‐¹とする。
(4)鉄、空気、水の中で体膨張率が最も高いのは空気である。
(5) 200ℓのガソリンの温度が30℃から40℃になると、ガソリンの体積は2.7ℓ増加する。ただし、ガソリンの体膨張率は 1.35×10⁻³K‐¹とする。
解答(2)
熱伝導率は気体(小)→液体(中)→固体(大)の順で大きいです。
ガソリンは液体、木の破片は固体なので、木の破片の方が熱伝導率が大きいです。