液体から気体に変わることを何というか覚えてる?
蒸発ですよね!
そうだね!
蒸発は液体の表面で起きているんだけど、液体の中から蒸発することを沸騰というんだ。
この講座では沸騰がなぜ起こるのかと、沸点について、詳しく解説するよ。
沸騰と沸点(重要度☆☆☆)
飲み物をこぼしても自然と乾くように、空気と接している液体の表面は常に蒸発しています。
さらに、液体を加熱すると液体内部も蒸発します。これを沸騰といいます。そして、沸騰が起きる温度を沸点といいます。
飽和蒸気圧(重要度☆☆☆)
一定の温度において蒸気が示す最大圧力を飽和蒸気圧といいます。
飽和蒸気圧の値は液体の種類や温度によって変わり、温度が上がると飽和蒸気圧の値も上がります。
飽和蒸気圧の「飽和」は「最大まで満たされた状態」という意味だよ。
飽和蒸気圧の意味は漢字そのままで、蒸気圧が最大まで上がった状態のことだね。
液体が沸騰するには、液体の蒸気圧が液面にかかる外圧以上の大きさになることが必要です。
液体を加熱して温度が上がると飽和蒸気圧も上がり、外圧(大気圧)の値と等しくなります。
飽和蒸気圧と外圧(大気圧)の値が同じになることで、液体の沸点に達し、沸騰するのです。
つまり、飽和蒸気圧と外圧の値が等しくなるときの液温が沸点です。
沸点は外圧が大きくなると高くなり、外圧が小さくなると低くなります。
水の沸点は100℃。
水を加熱すると温度が上がると同時に飽和蒸気圧もどんどん上がって、水が100℃になった時点で飽和蒸気圧と外圧が等しくなり、沸騰するよ。
水の沸点は100℃でも、外圧が大きくなったり小さくなると沸点も比例して上がったり下がったりするということですか?
そう!
たとえば、山の上の方では気圧が低いから沸点も下がる。沸点に到達したらそれ以上の温度にはならないから、山頂で水を使って調理しようとしてもあまり温度が上がらず、うまく火が通らないことがあるんだ。
逆に、飽和蒸気圧と沸点の関係を利用した身近な道具が圧力鍋だよ。
通常、水の沸点は100℃。水の温度が100℃になるとそれ以上温度は上がらない。
だけど、圧力鍋の蓋を被せて密閉すると、水蒸気の逃げ場がなくなって気圧が上がるんだ。
気圧が上がると水の沸点も上がって、110℃や120℃の温度で調理することができる。
水の温度が5℃上がるだけでも調理時間が半分になると言われているので、すごい効果だよね!
また、沸点とは、飽和蒸気圧が1気圧になるときの液温であるともいえます。
沸点は物質によって違うので表で確認しましょう。
物質 | 沸点 |
水 | 100 |
エタノール | 78 |
二硫化炭素 | 46 |
ジエチルエーテル | 34.6 |
一臭化三ふっ化メタン | -57.7 |
融点と凝固点(重要度☆)
固体が液体に変わることを融解、液体が固体に変わることを凝固といいます。
純粋な物質では融解と凝固が起きる温度は一定であり、この温度をそれぞれ融点と凝固点といいます。
同じ圧力であれば、物質の融点と凝固点は同じになります。
物質 | 融点 |
鉄 | 1,535 |
ナトリウム | 97.8 |
ナフタリン | 80 |
水(氷) | 0 |
水銀 | -38.8 |
物質は加熱されて温度が上がることで、
固体→液体→気体
というように状態が変わっていきます。
このなかで、固体→液体(融解)、液体→固体(凝固)に状態変化しているときは、物質の温度は上がりません。
融解と凝固をするときは、熱エネルギーがすべて状態変化のためだけに使われるからです。
本試験で狙われるポイント
沸騰は液体の飽和蒸気圧と外圧が等しくなったときに起こる
沸点は液体の飽和蒸気圧と液体にかかる外圧が等しくなったときの液温
外圧が大きくなると沸点は上がり、外圧が小さくなると沸点は下がる
同じ圧力であれば、物質の融点と凝固点は同じ
固体→液体(融解)、液体→固体(凝固)に状態変化しているときは、物質の温度は上がらない。
練習問題
問題 物質の状態変化について、適切な記述は次のうちどれか。
(1)液体の飽和蒸気圧が外圧と等しくなる時の液温を融点という。
(2)沸点は外圧が低くなるほど上がる。
(3)液体の蒸気圧は液温が上がると低くなる。
(4)同一圧力のもとでは、物質の凝固点と融点は等しい。
(5)物質は、融点より温度が低い場合、液体の状態である。
解答(4)
1.液体の飽和蒸気圧が外圧と等しくなる時の温度は沸点です。
2.沸点と外圧は比例するので、外圧が低くなると沸点も下がります。
3.液体の温度が上がると液体の蒸気圧も上がります。
5.融点とは個体が液体になる温度です。物質は温度が上がるにつれて固体→液体→気体と状態変化していくので、融点より温度が低ければその物質は固体といえます。