ガソリンや軽油などの危険物を扱えるようになる危険物取扱者乙4の資格ですが、この資格の使い道として最も身近なのがガソリンスタンドではないでしょうか。
危険物を扱うガソリンスタンドでの仕事は汚くてきつそうに思えますが、実は接客業のなかでも楽な部類に入るということを説明します。
乙4の資格がガソリンスタンドで活かせる理由
ガソリンスタンドではガソリンや軽油などの引火性液体を取り扱いますが、このような危険物を扱う場合、必ず危険物乙4の資格保有者が作業するか、立ち会わなければいけません。
そのため、ガソリンスタンドでは危険物乙4の資格保有者が常に必要とされています。
特に、セルフ型ガソリンスタンドでは顧客自身が給油作業するので、その作業を乙4の資格保有者が見守らなければなりません。
資格を持っていない人が給油する際に立ち会うことができるのは資格保有者だけなので、乙4の資格を持っていると優遇されやすいです。
特に、深夜はお客さんが少ないので、人手を減らすことになりますが、それでも最低一人は資格保有者が必要です。
夜勤に対応できる人は少ないので、乙4の資格を持って夜勤OKだと、採用されやすく、時給も上がりやすいです。
ガソリンスタンドの働き方
ガソリンスタンドでの働き方としては、主にフルサービスとセルフ型に分けることができます。
フルサービスは、顧客は車から降りずに、店員が給油を行う方式で、セルフ型は顧客が自分で給油するやり方ですね。
フルサービス
フルサービスの場合、店員は車が入ってきたら空いている給油場所まですぐに案内しないといけないため、常に外で立ったまま待機することになります。
基本的に立ち仕事になるため、それなりに体力が必要ですし、夏や冬でも屋外にいなければならないので、体調管理がより大事になります。
そして、フルサービスの場合、車を案内することも多く、その際に密閉性の高い車内にも聞こえるように大声を出す必要があります。
屋外での立ち仕事と大声での接客から、いわゆる体育会系の人に向いているといえます。
セルフ型
セルフ型では顧客自身が給油するため、給油作業はほとんどありません。
その代わり、モニターで顧客の動きを監視して、給油許可を出します。この仕事は危険物乙4の資格保有者が行います。
このモニター監視は室内で座って行うので、あまり体力がなくてもできます。
また、スタンド内が混んできたときは車の誘導をすることもありますが、基本的には車の案内はしないので、大声を出すのが苦手でもそれほど苦にはならないでしょう。
共通の仕事
給油作業以外にも、職場の清掃、自動洗車の誘導、手動洗車、車の窓ふき、ポイントカードの案内やオイル交換の営業等もあります。
ガソリンスタンドにもよりますが、仕事に慣れてきたら商品の営業を提案されることがあります。
営業は向き不向きがありますが、ガソリンスタンドの営業はそれほどガッツリすることができません。
というのも、お客さんは基本、給油をしに来ただけで、給油を終えたら車でさっさと帰ってしまうことがほとんどだからです。
車に乗っている相手を営業トークで無理やり引き留めることは難しいので、「~どうですか?」と軽く提案する程度しかできません。
なので、来た人全員に営業することはなく、顔なじみの常連や、時間に余裕がありそうな人、愛想のよさそうな人を中心に提案すれば十分です。
ガソリンスタンドが他の接客業と違って楽なのは、扱う商品の点数が少ないということです。
例えば、ガソリンスタンドと同じくどこにでもあるコンビニの場合、あの狭い店舗内でも商品点数は数千点あります。
全ての商品の配置を覚えなければいけないわけではありませんが、大まかな場所だけでも覚えておかないと、顧客に聞かれたときに対応できません。
特に、たばこは100種類以上あり、店員が探して取らなければいけないので、銘柄や場所を覚えないと不便なことが多いです。
その点、ガソリンスタンドではレギュラー、ハイオク、軽油の3点が基本です。
他にも灯油やエンジンオイル、洗車等がありますが、商品の数は他の接客業と比べると圧倒的に少ないです。
扱うものは危険なので慎重な作業が必要ですが、覚えることは多くなく、接客のなかでもシンプルな働き方になります。
資格による選択肢の多さが「楽」につながる(未経験・年齢不問)
ガソリンスタンドは給油以外の仕事も多いため、乙4の資格を持っていなくても働くことはできます。
とはいえ、一番重宝されるのはやはり資格を持っている人です。資格を持っているだけで採用が決まったり、時給が上がる職場も多いです。
資格を持っていれば、セルフ型のガソリンスタンドで座り仕事もできるため、未経験でも60歳以上の人でも働くことができます。
実際、求人を見ると未経験や50代以上でも歓迎しているところも多いです。
さらに、ガソリンスタンドは2019年時点で全国に3万か所あり(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「揮発油販売業者数及び給油所数を取りまとめました」)、ガソリンスタンドがない地域を探す方が難しいくらいです。
また、一般的に、フルサービス型のように外で立ち仕事をする方がきつくて、セルフ型のように屋内で座り仕事をする方が楽だというイメージがあるかと思います。
とはいえ、それは人によります。屋内での作業だと息が詰まる人もいれば、外に出るのが好きではない人もいます。
屋内の仕事は息が詰まって苦手だという人はフルサービス型のガソリンスタンドを選べば、外で声を出しながら働くこともできます。
逆に屋内で仕事をしたい人は、セルフ型のガソリンスタンドで座りながらモニター監視をすることもできます。
危険物乙4の資格を持っていれば、何歳になっても、全国どこでも、屋内でも屋外でも働けると言っても過言ではありません。
この選択肢の多さが、乙4の資格を取ってガソリンスタンドで働くメリットであり、ガソリンスタンドで楽に働くことができる要因と言えるのではないでしょうか。