溶液と溶解度(出題頻度☆☆)
砂糖水や食塩水など、液体に他の物質が溶けて均一な液体になることを溶解といいます。
溶解によって得られる均一な液体を溶液、物質を溶かしている液体を溶媒、溶媒が水である溶液を水溶液といいます。
また、溶媒に溶けている物質を溶質といいます。溶質は固体、液体、気体のいずれもあります。
たとえば、100gの水に10gの食塩が溶けているとした場合、110gの食塩水になる。
このとき、100gの水が溶媒、10gの食塩が溶質、110gの食塩水が溶液になるよ。
さらに、溶媒が水なので、このときの溶液は水溶液というんだ。
溶媒100gに溶解する溶質の最大量(g)のことを、溶解度といいます。
水(溶媒)にインスタントコーヒー(溶質)を入れると、適量なら全部溶けるけど、入れすぎると溶け残ることがあるよね。
つまり、液体に物質を溶かすことができる量には限界があるんだ。
この限界の量を液体(溶媒)100gでどれくらい溶けるか表したのが溶解度だよ!
たとえば、硝酸ナトリウムは水100gの温度が10℃のとき22gまで溶ける。
このときの硝酸ナトリウムの溶解度は22になるんだ。
基本的に、溶質が固体と液体の溶解度は溶媒の温度が高くなると大きくなります。
ただし、溶質が気体の場合は溶媒の温度が上がると溶解度は小さくなります。
インスタントコーヒー(溶質)を溶かすとき、水よりお湯(溶媒)の方がよく溶けるよね。
このように、溶質が固体や液体のときは溶媒の温度が高い方がよく溶けるんだ。
逆に、溶質が気体のときは溶媒の温度が高い方が溶けにくくなるよ。
溶液の濃度(出題頻度☆☆☆)
溶液に含まれている溶質の量の割合を溶液の濃度といいます。濃度の表し方はいくつかあり、下記の通りです。
・重量%濃度(単位は%またはwt%)
溶液の質量に対して、溶質の質量がどれくらいの割合を占めるかを表した濃度です。
重量%濃度=溶質の質量÷溶液の質量g×100
溶液の質量は、「溶質+溶媒」の質量のことです。
100gの水に10gの食塩を溶かした場合、溶質が10g、溶液は100+10=110gになるので、
溶質の質量10g÷溶液の質量110×100=9.09%
が濃度になります。
・モル濃度(単位はmol/ℓ)
溶液1ℓ中にどれくらいのmolの溶質が溶けているかを表した濃度です。
モル濃度=溶質の物質量mol÷溶液の体積ℓ
たとえば、水4ℓに食塩2molが溶けていたとしたら、
溶質の質量2mol÷溶液の体積4ℓ=モル濃度0.5mol/ℓ
になります。
モル濃度の単位mol/ℓがmol÷ℓという公式をそのまま表しているよ!
さらに、モル濃度に溶液の体積をかけると、溶質の物質量が分かります。
4ℓの食塩水のモル濃度が0.5mol/ℓの場合、
溶液の体積4ℓ×モル濃度0.5=溶質の質量2mol
つまり、4ℓの食塩のモル濃度が0.5mol/ℓの場合、 2molの食塩が溶けていることになります。
単位はℓだから、mℓが出てきたときはℓに直して計算しよう!
1ℓ=1000mℓだから、溶液の体積が500mℓのときは0.5ℓで計算しよう。
・質量モル濃度(単位はmol/kg)
溶媒1kgの中にどれくらいのmolの溶質が溶けているかを表した濃度で、溶液の沸点や凝固点を調べるときに使います。
質量モル濃度=溶質の物質量mol÷溶媒の質量kg
水100gに食塩1molが溶けていた場合、
溶質の質量1mol÷溶媒の質量0.1kg=質量モル濃度10mol/kg
になります。
本試験で狙われるポイント
溶媒100gに溶解する溶質の最大量(g)のことを溶解度という。
溶質が固体と液体の場合、溶媒の温度が高くなると溶解度が大きくなる。
溶質が気体の場合、溶媒の温度が高くなると溶解度が小さくなる。
重量%濃度=溶質の質量÷溶液の質量g×100
モル濃度=溶質の物質量mol÷溶液の体積ℓ
練習問題
問題 溶液に関する記述について、次のうち誤っているものはどれか。
(1)200gの硫酸水溶液に、硫酸が50g溶けている。このときの硫酸水溶液の濃度は25wt%である。
(2)砂糖水600mℓのモル濃度が0.3mol/ℓであるとき、18molの砂糖が溶けている。
(3)溶媒100gに溶解する溶質の最大量のことを、溶解度という。
(4)溶質が固体のとき、溶媒の温度を下げると溶解度は小さくなる。
(5)気体の溶解度は、溶媒の温度が上がると小さくなる。
解答(2)
モル濃度に溶液の体積をかけると溶質の物質量が分かりますが、単位はℓで計算するので、600mℓを0.6ℓに直します。
溶液の体積0.6ℓ×モル濃度0.3=溶質の質量0.18mol
が正解です。