反応熱(重要度☆☆)
化学変化や溶解には熱の発生、もしくは吸収を伴います。熱を発生する変化を発熱反応といい、熱を放出することによってエネルギーの小さな物質に変化します。
逆に熱を吸収する変化を吸熱反応といい、熱を吸収することによってエネルギーの大きな物質に変化します。
また、この時に発生、または吸収する熱を反応熱といいます。単位はkj/molで表します。
反応熱には下記の種類があります。
・燃焼熱
物質1molが完全燃焼したときに発生する熱量
完全燃焼は、酸素が十分な状態で燃えることで、酸素が不十分な状態で燃えることを不完全燃焼というよ。
・生成熱
化合物1molが、成分元素の単体から生成するときに発生または吸収する熱量
・分解熱
化合物1molが、成分元素に分解するときに発生または吸収する熱量
・中和熱
酸と塩基の中和反応によって水1molを生成するときに発生する熱量
・溶解熱
物質1molを溶媒に溶かすときに発生または吸収する熱量
溶媒というのは、物質が溶解するときの液体のことだよ。
あと、溶解するときの物質を溶質というんだ。
たとえば水に砂糖を溶かして砂糖水にするとき(溶解)の、水を溶媒、砂糖を溶質というよ。
問題文に出てくることもあるから専門用語として覚えておこう!
熱化学方程式(重要度☆☆☆)
化学反応式に反応熱を加え、両辺を=で結ぶと熱化学方程式になります。
C+O₂=CO₂+394kJ
上の式は、1molの炭素Cが完全燃焼(酸化)すると394kJ/molの燃焼熱が発生することを表しています。
熱化学方程式を書くとき、反応熱は必ず右辺に書き、発熱反応は+、吸熱反応はーにします。
ヘスの法則(重要度☆☆)
反応する物質と生成する物質が同じであれば、途中の過程には関係なく、反応熱は同じということをヘスの法則といいます。
例として、炭素が二酸化炭素を生成する2パターンを見てみましょう。
①炭素を完全燃焼すると二酸化炭素を生成します。このときの燃焼熱は394kJ/molです。これを熱化学方程式で表すと下記のようになります。
C+O₂=CO₂+394kJ
②炭素が不完全燃焼して一酸化炭素を生成するときの生成熱は111kJ/molです。さらに、その一酸化炭素が完全燃焼して二酸化炭素を生成するときの燃焼熱は283kJ/molです。これを熱化学方程式で表すと下記のようになります。
C+1/2O₂=CO+111kJ
CO+1/2O₂=CO₂+283kJ
②の二つの式を足すと、①の式と同じになります。
つまり、炭素が二酸化炭素を生成するとき、完全燃焼して一気に二酸化炭素を生成しようが、他の過程を経由して二酸化炭素を生成しようが、発生する熱量は同じだということになり、これをヘスの法則といいます。
ちなみに、炭素が完全燃焼して二酸化炭素を生成するときの反応熱は燃焼熱だけど、
炭素が不完全燃焼して一酸化炭素を生成するときの反応熱は生成熱だよ!
本試験で狙われるポイント
熱化学方程式は、化学変化したときの発熱反応(+)や吸熱反応(ー)を表す。
反応熱は、反応する物質と生成する物質が同じなら過程に関係なく同じになる。
練習問題
問題 下記の熱化学方程式は炭素が燃焼するときのものである。下記の方程式を参考にして、熱化学の記述で誤っているはどれか。ただし、炭素Cの原子量は12、酸素Oの原子量は16とする。
C+1/2O₂=CO+111kJ
C+O₂=CO₂+394kJ
(1)炭素は発熱反応によってエネルギーの小さい物質に変化している。
(2)炭素24gが完全燃焼した場合、788kJの反応熱が発生する。
(3)炭素12gが不完全燃焼すると111kJの溶解熱が発生する。
(4)炭素12gが完全燃焼すると、二酸化炭素44gが生成される。
(5)一酸化炭素COの1molは28gである。
解答(3)
炭素が不完全燃焼したときの反応熱は生成熱です。 溶解熱は物質1molを溶媒に溶かすときに発生または吸収する熱量です。