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危険物の乙4は難しくなったのか?

危険物の乙4は難しくなったのか? [危険物取扱者乙4]試験情報
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危険物の乙4は試験が終わった後、解答用紙を持ち帰ることができず、公式の過去問がありません。

そのため、過去の試験と比べて今の試験が難しくなったかどうかは判断しにくいです。

そこで、過去の受験者数や合格率の推移から、危険物乙4の試験が難しくなったどうかを考察していきます。

申請者数・受験者数・合格者数・合格率の推移

まず、過去10年分の申請者数、受験者数、合格者数、合格率の数字を見ていきましょう。

  申請者数(人) 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
平成23年 325,337 294,348 99,960 34
平成24年 324,542 293,211 98,764 33.7
平成25年 315,347 283,193 90,061 31.8
平成26年 307,106 275,415 80,347 29.2
平成27年 303,615 271,234 79,718 29.4
平成28年 299,080 264,946 76,575 28.9
平成29年 289,795 256,587 88,328 34.4
平成30年 269,358 240,102 93,667 39
平成31年令和元年 248,667 221,867 85,669 38.6
令和2年 225,233 200,876 77,466 38.6

(出典:一般財団法人 消防試験研究センター「試験実施状況」

どの年も申請者数に対して、およそ10%受験者数が減っています。

これは申し込みをしたけど、受験会場に行かなかった人が10%いたということですね。

ただし、合格率は合格者数÷受験者数で計算するので、棄権した人が多くても合格率には影響しません。

合格率の推移を見ると、平成23年~28年まで合格率はほとんど下がり続けていました。

平成26年~28年には合格率30%を切っており、この頃までは年々難しくなっていたのかもしれません。

ですが、平成29年からは合格率が上がり、令和2年には40%に近くなっています。過去10年の中では一番高い水準ですね。

合格率だけで見ると、平成28年までは難易度が上がり続けて、平成29年からはむしろ難易度が下がったように見えます。

なぜ合格率が変わったのか?

過去10年に合格率が10%前後変わっていますが、それはおそらく、受験者数が減っているからだと思います。

受験者数の推移を見ると、平成23年から令和2年にかけて約30%減っています。

これは、危険物乙4の資格で取り扱うガソリンや軽油などの需要が減っていることと、少子化による影響が原因だと思われます。

乙4はガソリンスタンドで必要になる資格で、1994年にはガソリンスタンドの数は6万か所ありましたが、2019年には約半分の3万に減っています。(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「揮発油販売業者数及び給油所数を取りまとめました」

危険物乙4の資格が必要になる職場が減っているので、受験する人も減ったということですね。

受験する人が減って合格率がそのままだと、合格者数が減ることになります。

たとえば、令和2年の受験者数200,876人に、平成28年の合格率28.9%を当てはめると、令和2年の合格者数は58,053人になります。

平成28年の合格者数76,575人と比べると、18,552人も減ってしまいます。

ガソリンスタンドの数が減って需要も減っているのだから、危険物乙4の資格を持つ人が減っても問題ないように思えますよね。

ところが、危険物施設の数は減っていますが、危険物による事故は増えているのです。

私が確認した段階だと、平成6年の危険物施設の数は560,790、令和2年は396,457に対して、事故件数は平成6年に287件、令和2年に562件です。(出典:総務省「危険物に係る事故の概要」

人的要因の火災や流出事故の件数も増えていることから、危険物の取り扱いの知識がある人を一定数確保したいのではないでしょうか。

受験者数が減ると同時に合格者数が減ると、危険物の取扱いができる人が減ってしまいますからね。

受験者数の減少に合わせて、試験の難易度を下げることで、危険物乙4の資格を持っている人をある程度の人数確保しているのではないでしょうか。

実際、危険物取扱者の試験を実施している消防試験研究センターの理事長は、危険物取扱者の資質の向上はもとより、確保が重要だと言っています。

危険物施設の事故防止や建物火災の減少を図り、安心安全な社会を構築していくためには、危険物取扱者及び消防設備士の資質の向上はもとより、その確保が重要となります。

出典:消防試験研究センター理事長あいさつ

危険物乙4の試験は簡単になった可能性が高い

ガソリンスタンドの減少による需要低下や少子化によって乙4の受験者数が減りましたが、危険物乙4の資格保有者は確保したいという思惑があるのではないか、という推測をしました。

だとすれば、乙4の試験は過去の試験と比べて難しくなったどころか簡単になったと考えたほうが自然ではないでしょうか。

とはいえ、あくまで「過去と比べれば」に過ぎませんので、油断は禁物です。

暗記しなければならないことも多いですし、しっかり試験勉強しなければ落ちる可能性も十分あります。

昔と比べて簡単だと思って、一夜漬けでなんとかするのは長い目で見ても良くないので、しっかり脳に定着するような勉強をしましょう。