燃焼範囲(出題頻度☆☆☆)
可燃性蒸気が燃焼するの濃度の範囲を燃焼範囲といいます。可燃性蒸気が燃焼範囲内にあり、さらに点火源があると燃焼します。
燃焼範囲は蒸気によって違い、濃度が濃い限界を上限値、薄い限界を下限値といいます。上限値、下限値を超えると燃焼は起こりません。
可燃性蒸気の濃度は、下記の式で表され、単位はvol%です。
可燃性蒸気の濃度(vol%)=(蒸気の体積(ℓ)÷(蒸気の体積(ℓ)+空気の体積(ℓ))×100
例えば、ガソリンの燃焼範囲は1.4~7.6vol%であり、蒸気の濃度が 1.4~7.6vol% の範囲にある場合のみ燃焼します。
このとき、燃焼範囲の下限値は1.4vol%で、上限値は7.6vol%です。
可燃性蒸気の濃度が1.4vol%より小さくても、7.6vol%より大きくてもガソリンは燃焼しません。
つまり、燃焼範囲が広ければ広いほど燃焼する可能性が高くなるので、より危険ということになります。
燃焼範囲は、空気の中にどれくらいの割合で可燃性蒸気が含まれているかを表すよ!
たとえば、ガソリンの可燃性蒸気が1.4vol%のとき、空気100ℓの中に1.4ℓの可燃性蒸気が含まれているよ。
主な危険物の燃焼範囲を覚えておきましょう。
燃焼範囲(下限値) | 燃焼範囲(上限値) | ||
ガソリン | 1.4 | 7.6 | |
灯油 | 1.1 | 6.0 | |
軽油 | 1.0 | 6.0 | |
エタノール | 3.3 | 19 | |
ジエチルエーテル | 1.9 | 36 |
引火点・発火点(出題頻度☆☆☆)
点火したとき、混合気体が燃え出すのに十分な濃度の可燃性蒸気が液面上に発生するための最低の液温を引火点といいます。引火点は、燃焼範囲の下限値に達したときの液温でもあります。
引火点で燃焼するには点火源が必要です。
例えば、ガソリンの引火点はー40℃以下です。
ガソリンはー40℃以下で、燃焼範囲の下限値である1.4vol%になり、火を近づけると引火します。
引火点=燃焼範囲の下限値と覚えておいてください。
燃焼範囲が広くなるほど引火しやすく危険であるのと同じように、引火点が低くなるほど引火しやすく、危険といえます。
引火点=即燃焼ではないことを理解しよう!
ガソリンなどの可燃性液体の温度を上げていって、温度が引火点=燃焼範囲の下限値になったとき、燃焼できる濃度の可燃性蒸気が発生するんだ。
この可燃性蒸気に火花などの点火源が加わると燃焼するよ!
温度が引火点に達していても、点火源が無ければ燃えないんだね!
それに対し、空気中で可燃物を加熱したとき、点火源がなくても物質自体が発火して燃焼する最低の温度を発火点といいます。発火点で燃焼するのは、固体、液体、気体のいずれもありえます。
どの物質でも、発火点は引火点より高いです。
引火点と同じく、発火点も低いほど燃焼しやすく危険です。
おもな危険物の引火点と発火点も覚えておきましょう。
引火点(℃) | 発火点(℃) | |
ガソリン | -40 | 約300 |
灯油 | 40以上 | 220 |
軽油 | 45以上 | 220 |
ガソリンの引火点がー40℃ということは、日本の環境なら点火源さえあれば常に燃焼できてしまうことになる。それだけ危険ということだね。
それに比べて発火点は灯油や軽油の方が低いから、灯油や軽油に比べるとガソリン自体は燃えにくいよ。
「ガソリンは引火点は低いけど、発火点は灯油や軽油より高い」ということも覚えておこう!
本試験で狙われるポイント
可燃性蒸気の濃度vol%=空気の中に含まれている可燃性蒸気の割合。
燃焼範囲は可燃性蒸気が燃焼する濃度の範囲。
燃焼範囲の中にあるとき、点火源を与えると可燃性液体が燃焼する。
引火点は、燃焼することができる濃度の可燃性蒸気が発生するときの液温。
燃焼範囲の下限値=引火点。引火点で燃焼するには点火源が必要。
発火点は物質自体が燃えるときの温度。発火点は点火源が要らない。
練習問題
問題 物質の燃焼の条件について、誤っているものはどれか。
(1)燃焼範囲の上限値を超えた可燃性蒸気が発生した場合、燃焼は起こらない。
(2)ガソリンの燃焼範囲は1.4~7.6vol%であり、ガソリンの蒸気2.5ℓと、空気97.5ℓの混合気体に点火源を与えると燃焼する。
(3)灯油の温度が40℃になったとき、灯油の液面には燃焼範囲の下限値の濃度の可燃性蒸気が存在する。
(4)発火点が300℃の物質の温度が300℃になったとき、点火源を与えると燃焼する。
(5)引火点も発火点も、低いほど危険である。
解答(4)
物質の温度が発火点に達したときは、点火源がなくても燃焼します。